おはようございます、船長のチャーリーです。
先日、9周年を無事終え、おかげさまで10年目に突入しました。
ご来店頂きました常連の皆様本当にありがとうございました。
開店して以来、本当に、本当に、本当に様々な事がありました。
私の至らなさ、不甲斐なさで去られたお客様達、私自らお引き取り
願ったお客様達...
色々な事があった中、私の心の中で、そして蛤覚で忘れられない、いや忘れてはならない
エピソードの一つがあります。
常連様であったM社長が、とある日いつものメンバーとご来店。
社長がこう切り出しました、「船長、弟が癌で死んじまったよ。前に
蛤覚に連れてきた弟だよ。死んじまう前にさ、俺にこう言ったんだ。
ベットの上で、”兄貴、あそこで食べたマグロ旨かったなぁ。もう一度食べてぇなぁ”
ってさ。そんで死んじまったよ...」
社長が号泣した。かける言葉も見つからず、ただ涙しか出てこなかった...
社長の会社は設備関連の仕事をしておりオリンピックを前に大変忙しかった。
元銀行マンの私としては一番好きなタイプのコテコテの中小企業の社長だった。
ある日会社のホームページを見ると、社訓が書かれていた。
まさに、社長の生き様だ。
「感謝・和・責任」 この言葉の趣旨もしっかり載せてあった。
ある日社長に、「社長!、社長の社訓、”感謝・和・責任”という言葉、株式会社
蛤覚の社訓に欲しいです。もらえませんか?」と尋ねると、「おぅ、良いよ。」
と即答だった。暖簾を分けてもらった。
それから約2年の月日が流れた、今度はM社長が癌に襲われた。
そんなことも知らず、最近M社長来ないとおもっていたら、ある日ご来店。
久しぶりにお会いすると、M社長は「船長、人が入院している間海でスイカ割
なんかやってていいよなぁ」
何の癌ですか何てヤボな事は聞かない。もう、末期だった。
そして、最期から2回目にお会いした時、社長が涙を浮かべ、
「船長、この薬が最後なんだよ。医者からはもう何をしても良いですよって
言われちまってさ...」
最後にお会いした時は、その年の暮に、「船長これ食べな」
つきたてのお餅とチャーシューをわざわざ持ってこられお帰りになりました。
それから半年後、会社の総務部から訃報の連絡が私の携帯電話に入りました。
享年 61歳の若さでした。
あらためて社長のご冥福を心よりお祈りするとともに、頂いた社訓
”感謝・和・責任”を継承できるよう努めます。
社長の愛くるしい目の笑顔が今でも忘れられません。
いつまでも、どうぞ蛤覚を天国からお守り下さい...
船長